楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

なつ

夏、それは「環境の中に存在することを強いられる季節」だ!

夏は傍観者でいられない。誰もが当事者だ。

外部から〈夏〉を覗く、ただの「目」ではいられない。

誰もが夏の中に存在せざるをえない。

汗をかく。息があがる。腰が曲がる。

汗をぬぐう。呼吸を気づかう。目的地に早く着けーと思う。

自分が夏の中にいることに気付く。

それもすぐに忘れる。

日光を感じ、日陰を探し、吹いてくる風に救われる。

たまに鳥の声に気付いたりする。

ほんのたまに、空を見たりする。

僕の心は夏に左右される。

でもそのことを自覚する余裕もない。