楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

酒のつまみ

なにかある種のおかずを口にしたときに、「ビールが欲しくなる」とか「これ、日本酒と合うだろうな」とか、大人はよく言うよね。じつにしばしば言う。こう書いてる自分自身も、実を言えば、そういうことをよく思う。目の前の食べ物を、酒のつまみにしたくなる気持ちはよくわかる。でもうがったことを言えばこの発想は食べ物を「酒のつまみ」という従属的役割に降格することだ。食べ物をそれ自身で味わうことはできないのか?

これにはこれ、あれにはあれ、ものごとには適切な組み合わせがあって、互いの魅力を引き出してくれる。それはいいけど、その組み合わせがそろってないと物足りなく感じてしまうという、融通のきかなさもあると思う。世界に対する認識がきめ細かくなるとはそういうことなのかもしれないけど。