楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

最近働きすぎなんだけど、世界を美しいと感じる心はかえって活性化しているとさえ言えるぐらいで、足元に生える苔やら、コップに注ぐ水やら、不意に目に入る道路標識やらがいちいち麗しく映る。10月、気候が良いという点もあるのでしょうね。それと、仕事内容が技術寄りで、新しいものに触れられているという点にも救われているのだろう。

忙しさに関係あるのかわからない、むしろ季節柄と言うべきのような気がするが、1年近く前に別れた恋人のことを最近ほんとうによく思い出す。答えは簡単で、さみしい。癒やされたい。彼女が欲しい……。しかし、あの人の前では、結局素直にはなりきれなかったのだよな。二人での時間をもちたいという思いと、一人でいる時間は捨てられないという思いとで、ぐるぐるする。

さほど遅くない時刻に目覚めて、けれどせっかくの休日なのに寝倒さないのはもったいないと布団から出ずにいたら、次に目覚めたのは午後だった。昼ごはんのことを考える中で、あるラーメン屋のことを思い出した。1.5駅くらい先の、街道沿いにあるラーメン屋で、一人暮らしを始めて間もなく見つけたが、生活圏からは微妙に外れている(そして特別心惹かれるメニューがあるわけでもない)という理由で足を運ぶ機会がなかった。ただ「いつか行ってみよう」という漠然とした興味が頭の片隅にずっとあって、それを何かの拍子で今日になって思い出したのだ。最低限の部屋の片付けと身支度をしたあと、自転車の空気を入れて(何ヶ月も乗っていなかったからタイヤがゆるゆるだった)、たどり着いてみたら、果たして4月から休業していた。なんとなくそういう予感はあって、だから下調べもせずにただ「見に行く」ようなつもりで来たのかもしれない。

昼食は市立中央図書館に併設のカフェでカレーライスを食べた。