楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

焦げ風雲児

休日出勤だった。曜日が日曜日であれ、出勤して、仕事して、退勤することは、あくまでいつもの動作で、これといって感情の動くことはないけれど、帰り道に立ってみると、なにかうまいものにありつきたい、と考える。あるいは、ひとしきりカラオケなんかで遊んで帰りたい。いい小物を買って帰りたい。

つまり埋め合わせをしたいと感じる。休日出勤とは、失われた日曜日。負債だ。だから効果の大きいグッドを手に入れて、そこに体をくぐらせて、プラマイゼロの状態に戻したい。より泥臭い言い方をすれば、僕は報われたい。

それで夕食は、ひとしきり逡巡したあげく、ちょと高めのチェーン店でレモンクリームパスタ(鮭入り)を試してみたのだけども、週明けから風邪気味が続いているせいなのか、なんかどこか粘土を飲んでいるような心地がしてしまって、いや、おいしいと理解はできるのだけども、テトリミノを積むように腹の中に食物を落としていくような感覚から逃れられなくて、要するになにか楽しめなかったんだよね。働きすぎて使い果たしたMP(この隠喩しか思いつかなかった。隠喩しか。)が、回復しきってないのかもしれないね。会計時に1000円札出し忘れて店員に念を押されただけで、なんか、険悪な心になりかけてしまったし。この歳でそんなでいいのか……。

で、何を書こうと思っていたか忘れかけていたが、せっかくの日曜日の残りを少しでも華やがせるべく、輸入品屋でさんざしの砂糖漬けとドイツのビールを買ってきた。(ビーポーレンも見つけたが、見送った) 買ってきた、って言いたかったみたい。