楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

背泳ぎの蝉しぐれ

連日暑すぎる。たぶん寒暖差の影響で、常に鼻づまりがある。台所が暑いのが苦なので、クーラーのある居間と台所のあいだを仕切る引き戸を開けておいたら、快適にはなったが、クーラーがききすぎて私がいつも寝そべっている場所が寒くなった。クーラーが冷やすべき体積が増えて、センサーがいつまでも設定温度に達しないので、いつまでも冷風を送り続けている。寒ければ重ね着すればいいんだけど、調子悪いときってそれすらもできなくて、近くにあった枕をたぐり寄せて抱きしめることでわずかに暖をとっていた。疲労はひとを愚かにさせる。

仕事は半リタイア状態になっていて、業務としては計1時間ぐらいしか作業していない。それ以外の時間も余暇時間らしく過ごすというよりは、ネットを見たり、クーラーに冷やされながらYouTubeを見て時間が過ぎるのを待つような過ごし方をしていて、こんなになにもしなくても人間は平気なんだと自分で驚くところもあった。今の会社に今よりもポジティブな感情を抱いていた頃は、3連休ぐらいになると半ば会社が恋しいという思いさえ生まれたもので、なんだかんだひとは「能力を発揮する」とか「人の役に立つ」ことを奥底で欲しているものだと思っていたから。まあ、まとまったことは何もしていないようでいて、こまごまとしたことで好奇心、利他心といったものをゆるゆると満たしているのかもしれないけど。ただ、起きて寝ているだけで体力が減っていくというのはもう季節柄しょうがないんだと思う。そこから目を背けることはできない。でも夏って9月ぐらいまではそうなんでしょ……? 「生き延びる」ってことをまじめに考えないといけない気がしてきた。