楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

にべもなく似姿

わたしは、けっこう、自分が好かれたい人たちに好かれているだろうと根拠もなく信じているところがあって、自分でも狂気的だと思うんだけど、そのファンタジーがほころびを見せるととたんに生きることに対して後ろ向きになってしまう。そこで露呈するのは社会的になにかと不利な立場に立っている自分で、自分がなにかと不利な立場に立っているということはそれだけで気勢を削ぐものがある。そんな具合に午前中~昼ぐらいまであまりよくない心持ちで過ごした。

仕事が終わってから自転車で地域の図書館へ、予約していた資料を受け取りに出かけた。部屋のドアを開けたら鼻から吸い込む外気が冬のもので、年末を感じた。気が早いだろうか。でも1ヶ月ぐらい前にはすでにコンビニがおせちの広告を出しているのを見ているし、世間の方がもっと早いだろう。

この前借りた本は、読み始めるまで1週間ぐらい放置していたから、今回は早めに着手して勢いをつけておこうということで、夕食後にさっそく読み始めた。しかしサングラスをかけないとまぶしくて紙面を正視できないし、定規によるアシストを受けないと自分がどこを読んでいるのかすぐ分からなくなる。これだけ準備をととのえても言葉の意味がぼんやりと受け取れるような感じに包まれるだけで、読めると読めないとの境界線上を揺らいでいるようだ。フルタイムで働いて、自転車で運動して、腹十一分目ぐらいまでごはんを食べてから万全の状態で本を読めると思うほうがおかしいのかもしれない。