楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

天邪鬼の差し歯

前日行きそびれたプールへ。新しい水着に替えてよかった。前の水着は、あれはいつ買ったのかも覚えてないが、中高生が見た目を気にして買うようなやつで、短パンみたいなゆったりしたシルエットの形状をしていて水の抵抗を受けやすいのと、買ってから時間が経っているので紐がゆるくなっていて、勢いよく蹴伸びをしようものならそのままスポーンと脱げてしまいそうな代物だった。今回、ピチピチの水着を買って、もう外からの目を気にする歳じゃないしな、歳でそれが決まるのはいいこととは言えないが、私は気にしなくてもよくなったので、これで思い切り蹴伸びができるようになった。気持ちいい。

自由遊泳スペースで遊んでいたらにわかに人が増えてきて、これではのびのびと泳げないと判断するかしないかで体がプールのふちを掴んで陸に上がろうとして、上がると同時に体に痛みが走った。やったこれは。数秒後、筋肉を攣ったのだと理解した。ベンチで数分間休み、もういいかなと思うぐらい待っても特に改善の傾向が見られないので併設しているジャグジーみたいなところ(これが税金で運営されてるんですか? いいの?)で体を温めていたら痛みが遠のいていった。

筋肉を攣るということがどういうことなのか最近わかってきた。自分の体に降りかかっていることと、「攣る」という動詞がいつ結びつくのかがわかってきた。そういえば 5 年ぐらい前にジョギングをよくしていた頃に、終盤に脇あたりの筋肉がめちゃくちゃ痛くなってしばらく休むということを半ば定例のイベントにしていたけど、あれも攣っていたのか……。運動が生活の一部だったことがほとんどないので(学校の体育の授業でさえ、あれは「運動」ではないなにかだった)、それにまつわる語彙の発達がとても遅れている気がする。

急に動かすと攣る、というのも確かにそうなんだけど、頭と体が連動していないときに特にそうなるのではないかと思った。自分で何をしているのか十分にわかっていないまま動くと攣る。プールから上がるという動作をしたときも、え? 上がった方がいい? 上がらなきゃ? などと迷いながら体が先行して動いて、いわば幽体離脱みたいな状態で行動したのが原因のような気がしてる。自分で理解して納得した上で自分の意志のもとで同じ動作をしていたなら引き攣りは起きなかったのではと。これ、「とっさに体が動く」みたいなのとは少し違っていて、その場合は頭がスリープモードに一瞬入って体だけになる感じなんだけど、攣るときの動き方は、頭と体の方向が一致していない感じ。