楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

とろ火でかがり火

週明け。気分が暗い。元気がない。コロナから復帰して以降、それより前よりもいちだんと暗くなった心地がする。ひとり言を言わなくなったから生活はいっそう静かだ。元気がない。体力は落ちている。前よりも落ちたのかはよくわからない。目に見えるほどは変わっていない。それまでがすでに体力が落ち切った状態だったから。涼しくなってきたからジョギングを再開しないといけない。働くことを中心に考えると自分の健康やウェルビーイングみたいなものを容易に犠牲にしてしまう。それにしてもここ数年は坂道を下るように元気がなくなっていく数年だ。何があった。30代を回ったからか。コロナ禍のせいか。会社をやめることにしたことからくる不安か。孤独か。不健康か。ジョギングを再開しないと……。ジョギングでなくても筋トレでもいいから体を動かす日を増やそう。

なんだか生きていないみたいである。自分は少し前に死んでいて、いま見えているのはこの世に未練を残した私の魂が見ているビジョンなのだ──そんなふうに言われても半ば信じてしまいそうな気がする。夕食の買い出しのスーパーからの帰りにそんなことを思った。

しばらくまえに沖縄物産店で買ったコンビーフハッシュ(コンビーフと煮たじゃがいもが混ざったしょっぱい食べ物)を昼に味見して、インスピレーションを得て食パンを買ってきた。夜は、食パンにコンビーフハッシュを載せ、チーズを載せて焼いたものにした。土台にマヨネーズと刻んだディルを。しょっぱい。味覚障害のせいなのかどうなのか、このかた食べ物がしょっぱいと感じやすい。あと食べ物の選好関数というか、何を選ぶかというセットが変わった。罹患前は昼はパスタ、夜はカレーを作って食べていたが、いまは出来合いのものを選ぶ頻度が激増した。サッポロ一番も久しぶりに買った。あとはレトルトカレーとか。あるいは牛丼をテイクアウトしたりとか。好みの変化というより体力にまだ自信がないので、あまり手を動かさずに食べられるものに手が出やすいということかもしれない。