楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

へぎそばに変身

ここ1~2ヶ月ぐらい、仕事で頻繁に出張があって、飛行機やら新幹線やらに乗る機会が多かった。わかったんだけど長距離移動は長距離移動だというだけで体力をごっそりもっていくものなんだね。わたしの身体という物理的存在が座標Aから座標Bに移動するというだけでは済まない。それがようやく身にしみてわかった。というか乗り物に乗っている時間が長いとはいえ7kg(空港の荷物預けるコーナーの前で測った)ぐらいの荷物を連れて移動するのは普通に肉体労働だし、乗り物に乗る時間もただの時間ではなくけっこうな轟音が響くもので、わたし聴覚過敏気味なのでそれだけでもダメージを受けているんだよね。新幹線でノートPC広げて仕事してる人とかよく見るけどああいうことしたら10分も経たずに乗り物酔いでギブアップすると思います。

……自分は雑談が苦手だと思っているし実際に上手に「雑談」できた経験がおそらく一度もないんだけど、話したいことがないわけでは別にないんだな。でも人に向かって話そうとすると言葉が出てこないんだよな。「こんなくだらない話」、と思っているのが一因ではある。

「疲れた」話を今日はしようとしていて、出張での移動も疲れたんだけど出張先で自由にトイレに行けない環境で作業させられることがけっこうあり、これもストレスのもとになっていたに違いない。違いありません。これについてそれ以上語るべきことはあまりない。でも今まで会社勤めしてきた中で最も過酷な作業環境だったな。一番厳しいところではトイレ行けない・水分補給できない・椅子がない・地下鉄ホーム相当の轟音が吹き荒れている、で、書き出してみたら何かの法令に抵触するのでは?という気がしてくるぐらいだ。

さいわい大きく体調を崩さずには済んでいるんだけど、小さな体調崩しは経験していて、きのうは朝からキツめの頭痛に見舞われていてその体を引きずって電車・飛行機・バスを使って帰宅するというわりと蛮行をしていた。何ヶ月か前に経験した〈お前はもう動くな〉と脳が警告している系の頭痛で(この表現で他人に何かが伝わると期待しないけれども、私にはわかる)、眠気とセットになっている。とにかく隙あらば身体が眠ろうとするので、空港のベンチで居眠りして、飛行機に搭乗したら眠気に耐えられず1.5時間のフライトで30回ぐらい寝落ちと復帰を繰り返し、長距離バスに乗り換えればまた5~10分周期ぐらいで寝たり起きたりし、帰宅したら手だけ洗って押し入れの毛布を引っ張り出して座布団の上で寝た。指先が冷えていたので体を温める必要を感じてた。移動の間、具合悪いのでTwitter見たりもできなかったし、ものを食べるのも少しずつでないと入っていかなかった。ほんとは現地にもう一泊して静養しているべき体調だったんだけど、イレギュラーな事態に対処する力がなく無理して帰宅する選択をした。

こうしてネットでひとり言を言う以外のとき、自分はもうだめだ、つらい、みたいなことを他人に対して言うことができなくて、大丈夫だと言ってしまう。最近これもようやく自覚した。さらに、自分の弱さを表出することは自分の中で禁止されているが、怒りを表出することは許可されている、そのことにも気がついた。有害な男らしさ、みたいなのを内面化しているようにも見える。それがネットとリアル(という言い方が今どれほどの意味をもっているのか怪しいが、便宜上使う)とで違うのは、だからやっぱりソーシャルな要素が左右しているんだろうな。