楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

西武球場は世界の玄関

休日は平日より忙しい。私は私の人生にしてやらねばならないことがたくさんある。生き急いでいるなと、ちょっと思うけど、でも今まで何もしてやらなすぎた、その反動だと考えると自分的には納得できる気がする。ただ休息はとらねばならない。

土曜日。午前中に病院に行った。健康診断で引っかかって(この短いフレーズで或るひとまとまりのことが通じるのはすごいことだと思う)、精密検査が必要だと言うから来たのだ。1時間半くらい待たされて診察室に通された。服を脱がされて体を触られ、ひとことふたこと話をされた。そのあと別の検査室に通され、また服を脱がされて写真を撮られ、尿を採取されて、また別の検査の日程を決めさせられた。検査当日は朝食を食べないように、お茶はいいが味のついたジュースなどは飲まないこと、検査1時間前から尿を溜めておくこと、など注意事項を説明された。自分が無表情なので話を聞いていないか理解していないかに思われたのか、3回ぐらい同じ説明をされた気がする。こういうとき「わかってますよ」と言ったら角が立ちそうだし、なんと言ったらいいんだろう。説明を自分で繰り返せばいいのか。そのあとまた医師から呼ばれて検査の結果を聞かされ、楡(仮名)は太っているから検査の結果が云々みたいな言い方をされてはっとした。失礼だなあと頭で思いつつ、そのことではなく、自分ではいまだに痩せているつもりでいたのだ。子供の頃から痩せ型だったし、筋肉がなくて腕も細いのでまだ「痩せ」だとなんとなく思い続けていた、腹が出てしまったがそれ以外は痩せていると……思っていたけど体重のこと考えたらもう「痩せている」というのは「言い張っている」という表現がふさわしいか。5年か10年遅れぐらいで自己イメージが切り替わった瞬間だった。