仕事に意識を持っていかれててニュースも満足に追えない状況なんですけども、通常国会が始まって立憲民主党の泉代表が〈衆議院を解散して国民に信を問うてはどうか〉みたいなことを岸田総理に持ち掛けてたけどこの「信を問う」ってどういう意味なんですかね。
衆議院の解散を行い、総選挙で自民党が勝ったなら〈国民の信任が得られた〉、自民党が負けたなら〈国民の信任が得られなかった〉という解釈をする──そういう了解があるんだと思うけど、そうだとするといくつか疑問がある。
第一に、総選挙をしたところで自民党が勝つに決まっているのでは?と思う。だとすれば泉氏の提案は最近の政府の動きにお墨付きを与えるだけの結果になってしまうのではないか。野党の立場でそんなことをわざわざ申し出るとは考えにくいので理解できない。
それとも、自民党が勝つのは分かってるけど、話題になっている防衛費増額は昨年末に国会にも諮らずひっそりと決めたものだから、後付けでいいから〈国民に問う〉という手続きを踏んでおけということなんだろうか。そうだとすると泉氏や立憲民主党は防衛費増額という結論には賛成ということになるんだろうか。
それともそれとも、政権支持率も下がっていることだし今選挙すれば勝てると踏んでいるのだろうか。そうだとすると整合的に理解はできるが、私には今の立憲民主党が選挙で自民党に勝てるとは思えないので、泉氏は読みが甘いのではないかという感想を持つだろう。
ここまで考えてきたが、もしかすると泉氏は、自分が申し出たところで首相がいま解散に踏み切ることはあるまいと踏んで、何らかのパフォーマンスとしてこの発言をしたのかもしれない。しかし実質的な内容がない中で残ったのは「パフォーマンス」? と思うと、なんのための国会だろうかと気が滅入ってくる。
そして第二の疑問。選挙で勝つ/負けるがどうして防衛費増額という特定の政策に対する信任に読み替えられるのか。政党や政治家個人に対する信任というならわかるが、選挙の結果はその政党や政治家が進めている政策に対する信任にはならないのではないか。あまりいい喩えが思い浮かばないが、学校の成績表で国語: A 算数: C 理科: C 社会: B のような成績がついているのを「私の成績はAだったよ」とだけ親に伝えるようなものではないか。
それから第三の疑問。衆議院を解散するという大掛かりなことをどうしてそう簡単に提案するのだろうか。選挙をするには莫大なお金がかかるんでしょう。それは「信を問う」というたった4文字で動かしていいものではないと思うな。素朴にそう思う。そんな本当に〈問えている〉のかわからない手段に訴えるより、しっかり国会で議論してほしいんですが。
おわり。こういうの書いてる時間があるならニュース記事をもっと読めるだろうと言われたら反論はしにくいよね。