楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

不埒なフルコース

所用でひさしぶりに会社の社屋へと出向いた(普段はリモート)。会社は自分が住んでいる場所よりもちょっと田舎な場所にあって、ひさびさにその空気を吸って、この街並みや雰囲気は嫌いじゃないんだよなと思った。社屋もややほこりっぽいけど、その匂いがいろいろなことを記憶していて、この空間を動き回ることは体験として悪くないんだよなと少しノスタルジックな気持ちになった。会社は気に入らないからやめるけど、この地域は長い時間を過ごすのにいいんだろうな。

日記を書くときに、その日あったことを記述するというよりは、その日考えたことを思い出しながら再現するというほうが、自分が書きたいもの=読みたいものが出てくる気がする。それが自分にとっての「正しい」書き方であるとさえ言いたくなる。

社屋はいつも誰かしらの話し声が耳に入るような環境で、おまけに誰かからいつ視線を向けられているともわからない環境でもあるので、まあ仕事はやりにくかった。そうなると自分が自分としてものを考える・ものを見るという時間が極端に制限される。つねに小さい窓から世界を覗いていて、ときたま何かが横切ったら急いでそれを書きとめる、そういう状態が続いた。これは擁護の余地なくよくないことだと思うので、職場を変えるにしても基本はリモート希望というスタンスは自分は崩すべきではないと再確認した。

通勤というものをするとやはり疲れるもので、帰宅後に1時間ぐらいはぼんやりTwitterとかを見る時間が必要だった。そんな状況下で自炊をするのは殊勝な心がけだと言って差し支えないけれども、しかし自分でごはんを作ることの面白さや充実感は変わらずあった。