楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

ともにシューベルト

部屋の片づけをした。虫(あいつ)が出たから……。(あいつ)は、ホコリをかぶっていて、堂々と部屋の真ん中に現れたし、棒でつついても身をよじるだけで真剣に逃げようとしないのだった(部屋に仕掛けた薬がだいぶ回っているのかもしれない)。対処はしやすいが、とにかく狭いほう狭いほうへと動こうとするので、床に散らかした紙類やビニール袋、バッグ類を片付けて、部屋の空間がなるべくシンプルになるようにした。

今年は(あいつ)はこれまで見ていなかったけど、そのかわり蚊かハエみたいな小さな虫がよく出ていた。去年と比べて掃除の頻度が減ったとはあまり思えないけれど、いずれにしても部屋をきれいに保つことは重要だ(いずれにしても論法)。

最近はみっちりと仕事している。技術寄りの仕事で、しかも諸事情でノルマがないので、客観的に見てかなりうれしいタイプの仕事だといえる。主観的にも心の負担が少なく感じている。きのうの夜、仕事で詰まった場所が気になって、風呂場で考え出して、風呂上がりにアイス食べながら調べ物をしていた。ずっと同じ問題を考え続けてしまうのは数学を勉強しているときの行動パターンに相通じている。こういうときは考えたくて考えているのではなく、主導権は「問題」のほうにある。問題に心身が取り憑かれてしまうのだ。だから不便でもあるが、本人は熱中しているのでそれが「困ったこと」として現れてこない。食事を省略したくなるのもこういうときだ。幸いというべきか、わたしは本当に寝食を忘れるほど何かにのめり込んだ経験がないけれど。

現象学は私の人生に役立つ気がするので勉強したい、と思い始めて1年ぐらいは経っているだろうし、確実に勉強する、と思い始めてからも半年は経っているけど、一冊も読み始められていない。とにかく本を触っている時間を増やさないといけない。