楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

甘噛みであぶく銭

どうもパソコンの前に座ると体調が変異するように見える。息が苦しくなったり、目がかゆくなったり、体が熱くなったり。〈パソコンの前〉が実はある種の緊張を強いる場と化しているのかもしれない。息が苦しいのは飲んでる薬のせいもあるようではあるが。リモートワークの影響で「パソコンの前」と「仕事」が意識下で結びついているのかな、とも思ったけど、わりと昔から、パソコンの前にいる自分がリラックスしているのかというとそれほどでもなかったな、という気もする。ここで自分が本来の自分になれているんだ、とは別に言いたくならない。

1年ぐらい乗っていない自転車を整備しようとしたらタイヤが壊れてしまった。タイヤ? ホイール? 空気を入れようとしたら金具の部分が中に入り込んでしまって戻らなくなった。もうだいぶ放置していて色々な部分がサビたり汚れたりしているので、これを機に買い換える方向で考えることにした。新しいの買って大事に乗ろう。そう思うけど、ほんの少しでも忙しくなると丁寧なあらゆることができなくなってしまう性質なのでうまくいくか疑わしい。植物すら育てられなかった自分が、自分以外のなにかを長期にわたって世話することなんてできるんだろうか。

蒙古タンメン中本に行った。セブンでカップ麺が展開しているしどこにでもあるかのような気がしてたけど、関東のみの展開で全30店舗ないぐらいなのね。わたしは学生のとき部活の仲間に連れられて行ったのが最初で最後だったので、10年以上ぶりに来たことになる。人気メニューの「蒙古タンメン」は食べるのに苦労した覚えがあるので、まずは小手調べとして辛さ段階が下がる「味噌タンメン」と半ライスにした。ちまたの辛い食べ物の中央値ぐらいの辛さかな。

中本には何週間か行こう行こうと思いながら機会がなくて、今週もそこまで足を伸ばす用事はなかったんだけど、昨日は一日引きこもっていたし今日も軽い頭痛があって不活性気味で、でもそういうふうに過ごしていたら気分が塞ぎそう──気分というかもっと端的に、人としてだめになりそうだったので、図書館に本を借りに行った帰りにふらっと電車に乗ったのだった。今行かなくてもいい場所に行くこと。今しなくてもいいことをすること。そういうことこそが定期的に必要になるものらしい。30過ぎてようやく感づく。不器用に生きてきたもんですよ。