6月後半は仕事が忙しかったんで、あまり読んでないなあというセルフインプレッション(?)だったんだけど、記録を見てみるとあんがい冊数は稼げてる。「稼げてる」って、読書は数ではないけど、数も重要だと思う。より正確に言うとスピード感。
- 鈴木郁子『自律神経の科学──「身体が整う」とはどういうことか』講談社(ブルーバックス)、2023年(1刷)。
- https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000361165
- 自律神経どころか、私にとっては「神経」との出会いだった。サイエンス系の読み物を長らく怠ってきたんだけど、体や心のことを考えるためにはどうしても必要だと観念しました。
- ブルーバックスは全体的にそうだと思うけど本気で興味ある人向けにごまかさない説明をしている感じで好感が持てる。必要以上に易しくはない。
- 松本敏治『自閉症は津軽弁を話さない──自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』KADOKAWA(角川ソフィア文庫)、2020年(2021年5版)。
- https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000236/
- 福村出版2017年刊の文庫化。
- これはよかった。発達障害×方言×東北で「俺得」な取り合わせだったのもあるけど、精神医学、語用論、社会言語学、方言、学術調査、教育などいろいろなテーマが無理なく交錯していて、自然にいろいろな方面に関心が広がる拠点になっていた。
- 佐藤美文『人間を詠む 自然を謳う 社会を裏返す──川柳入門』新葉館出版、2018年(初版)。
- https://shinyokan.jp/netstore/products/detail/1500
- 版元は雑誌『川柳マガジン』の刊行元。
- GWの旅行先で買ったもの。かなり自由に書かれたもののようで文章がいいかげんなところもある。でもスルスル読めるようになってるので結果的にはよかったと思う。川柳の歴史と同時代の広がりを駆け足でひとめぐりできた。
- 羅芝賢『番号を創る権力──日本における番号制度の成立と展開』東京大学出版会、2019年(初版)。
- https://www.utp.or.jp/book/b432352.html
- 数年前に買っていて「いつ読むんだコレ」と本棚を睨みながら踏み込めずにいた一冊。ちょうどマイナンバー関連の行政トラブルが連日報道されていたところだったので「今だ」と読み始めた。
- ここしばらくで読んだ本の中では一番難しかったかも。政治史や社会学の予備知識を要求するので、知識がないと歯が立たない。それでも筋は追えるように書かれているので大変ありがたかった。博論をベースにした本なので当然といえば当然なのだろうなと思いながら、でもやはりありがたい。
- いろいろと知識が増えてハッピーだが、なかでも番号制度を考えるときに医療保険・国民年金・自動車免許と並べて考える(あと「戸籍」も。)というのは啓蒙だった。
- 平岡直子『Ladies and』左右社、2022年。
- https://sayusha.com/books/-/isbn9784865280869
- 川柳句集。タイトルや表紙からはフェミニズムの匂いがするが、そのテーマで統一した句集というわけではないようだ。いろいろな響きの現代川柳が読める。
- 単語の選択がするどい。