楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

今月読んだ本(2023年8月)

Twitterに読書メモを投稿したら「今月読んだ本」を今月も記録する日が来ていたことにも気付いた。Twitterのメモを見直すと今月は句集ばかり読んでいた。ハマっているから、もあるけどまとまった分量のテキストを読む精神的・肉体的・時間的余裕がなかったというのが大きい。

  • 湊圭伍『そら耳のつづきを』、福岡:書肆侃侃房、2021年(1刷)。
    • http://kankanbou.com/books/haiku_senryu/senryu/0466 
    • 再読。現代川柳に触れるか触れないかみたいな頃に一度読んでいた。Twitterでも誰かが指摘されていたけどコンパクトで涼しげな装丁が素敵。
    • 575にとらわれず川柳の形式的制約をかなり自由に解釈して作られたような作品が多い。でも自由律とは違って、制約は意識するが墨守しないという距離感。語彙の豊富さとか、言葉の使い方が自由自在で教養の賜物なのだろう。
  • 伊波真人『ナイトフライト』、福岡:書肆侃侃房(現代歌人シリーズ)、2017年(2018年2刷)。
    • http://kankanbou.com/books/tanka/gendai/0293
    • これも再読に近い境遇で、しばらく前に買って何十ページか読んで放置していたものを引き出してきて読み終えた。
    • コンセプトがかなりはっきりした作品群だと思った。同じものに対して何百という別々の角度から光を当てるような。
  • ササキリユウイチ『馬場にオムライス』(私家版)、2022年(初版)。
    • イベント予習を兼ねて。次のページからリンクされている通販フォームから入手した。
    • https://note.com/kuredakinenbi/n/nf8ecac488e4d
    • 才気走るというか駆け抜けるような印象があった。現代川柳の可能性のその先を行こうとするような。意味論的には分析できないのに存在がしっかり立っているような、言葉の深層心理を掘り当てるかのような句を作る能力がこの作家にはあると思った。
  • 樋口由紀子(編著)『金曜日の川柳』、東京:左右社、2020年(同年2刷)。
    • https://sayusha.com/books/-/isbn9784865282689 
    • アンソロジー。Web連載を書籍化したもので、いわゆる現代川柳っぽくない作品も含め(むしろそのほうが多いかな)さまざまなジャンルから300句余りを紹介し、しかもそのすべてに編著者による鑑賞文をつけるという偉業を遂げている。ところどころ鋭い指摘が入っていてとても参考になる。煉瓦みたいな変形判がかっこいい。
  • 飯島章友『成長痛の月』、小金井:素粒社、2021年(初版)。
    • https://soryusha.co.jp/books/005_seichotsu_910413068/
    • 現代川柳とは何であるか/何でないかを考えるのに材料になりそうな作品が多く収録されていると思った。エッセンスが閉じ込められている。
    • あと、Twitterでは書こうと思ってやめたんだけど俳句っぽい面がある気がした。ただ、それは〈難しい語彙が多い〉とか〈取り合わせの妙が効いている〉とかそういう共通点(と私が思うもの)がいくつかあるというだけなんだけど。この点はもうしばらく勉強してから再訪してみたい。