楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

近似値ガストロノミー

休日。長距離バスに乗った。海を見た。窓際の席でサングラスをかけた。まぶしかったので。かけたら楽になるので不思議だ。むしろ今までそれなしでいけてたのが不思議だ。

ちょっとした用事をこなして、駅前の街並みを見て帰った。ただただ見るということができてうれしい。それでなにかが回復する。MPと名づけうるなにかが。

電車で帰るのは法外な時間がかかると思っていたが、調べてみると案外そうでもなかったし、快速が出ていてほとんど乗り換えなしで自分のテリトリー内まで乗り入れることができるとわかったので、電車に乗って帰った。速い電車と遅い電車がある程度にしか思っていなかったが、鉄道はもっと奥深い。知らないことだらけだ。

また車窓を見た。人の少ない地域のほうが景色の見がいがあるなと思う。実感する。都市部に近づくと目のやり場がなくなる。

休み方がわからない、遊び方がわからないと以前さかんに思っていて、その答えの一つは〈乗り物に乗って運ばれる〉なんだろうな。ぼんやり景色を見て、このあたりの地形はこうなんだな、とか、植物が生い茂っているな、とか、素朴なことにひとつひとつ気付くことが癒しなんだと思った。