楡男

一億人の腹痛と辞書と毛虫とオレンジと

駒込リファレンス

白髪は大学院生時代に一時期あるのに気づいて、気にしたり気にしなかったりしていたらいつのまにかなくなっていたんだけど、最近一本の白髪があることに気づいて、やはり気にしたりしなかったりしているんだけど、今回はなくなる気配がない。

壁に貼り付けられる小型の鏡を買って、流し台の上に取り付けた。流し台に立つと自分の顔が映るようになる。そうしたら台所で髭を剃れるようになった。いや、台所で髭を剃ること自体は以前からやっていて、ただ鏡がなかったので持ち運びできる立て鏡を持ち込んで冷蔵庫の上に置いて髭剃りをやっていたのだ。別に大した手間ではなくて、鏡の持ち運びも時間にして5秒程度だし、負担だとは思えなかったんだけど、しかし「その場に行くと鏡がある」という状況は、以前の〈その気になれば〉髭剃りもできるという状況とは根本的に異なるものがある。アフォーダンスという言葉を使っていいのかな、よく知らないんだけど。壁に取り付けられた鏡は、〈ここで髭を剃ってよい〉というメッセージを発している。許可されているどころか、促されている。